英秘密情報部に初の女性長官、日本スパイ天国、自民調査会「スパイ防止法」導入を提言

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1. 英、113年も前からスパイ取締り

イアン・フレミング作のスパイ小説・映画『007』で活躍するジェームス・ボンド(演者ショーン・コネリー)が作品の中で所属していたのが、この英国秘密情報部(MI6)【写真】。

この度、その長官にブレイズ・メトレウェリ(47)(*)氏が就任した【写真】。MI6の113年の歴史の中で初の女性長官だそうだ。

英国秘密情報部長官ブレイズ・メトレウェリ(47)氏

(*)メトレウェリ氏は、英ケンブリッジ大学で人類学を学んだ。MI6の姉妹機関のMI5で長官レベルの役職を歴任し、キャリアの大半を中東とヨーロッパで過ごした。

MI6は国外での諜報活動に関して、情報収集のための諜報・工作活動を展開。逮捕権はないが調査権はある。正式名称を「Secret Intelligence Service (SIS)」といい、日本語では「秘密情報部」と訳される。

通称MI6は、SISの前身である軍事情報部(Military Intelligence)の第6課に由来している。

国内の情報活動はMI5(保安局)が担当。「機密保持法」により国内のテロ対策、スパイ監視、および過激派対策を行なう。警察のテロ対策担当と協力して逮捕・起訴まで連携する。警察と連携した捜査権、逮捕権がある。メトレウェリ氏は、ここで長官レベルの職位にあったのだ。

さて、私がここで特記したいのは、”初の女性長官”もさることながら、スパイ行為取り締まりの法律や国家機関が英国ではすでに113年も前からあることである。

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2. スパイ天国・日本

当然のことながら英国以外の米、仏、独、露、および中国にも、国外からのスパイ対応の法律や諜報機関が存在し、自国での国際的なスパイの活動を抑止してきている。

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諸外国では、外国勢力による情報収集活動への対策として、厳格なスパイ防止法や専任の捜査機関が整備されている。しかし日本では、こうした制度が未整備のままであるため、長年「スパイ天国」と揶揄されてきた。安全保障や国民の知る権利を守るための制度整備が今後の課題となっている。

このため、共産国家のスパイは「スパイ天国・日本」ではやりたい放題で、政治、経済、および技術関係の情報は容易に日本国外へ持ち出されている。

3. 中国スパイの巣窟・孔子学院

先ごろアメリカが閉鎖をきめた孔子学院にしても、日本では私の母校をはじめまだ閉鎖に至っていない大学がある。日中友好のため、だそうだ。日本ではなぜアメリカほどの、国家機密に対する繊細さがないのか。国家機密や技術情報がが白昼堂々と盗まれているのに、なぜそれを阻止しないのか。国会議員や取締り当局は、なぜ平気で毎日を送れるのか。

技術先進国だの、礼儀正しく清潔な国だといわれても、日本人は国防や機密保持に関して国際的にトロイ(頭の働きが足りない)といわれる所以である。備蓄米や減税、現金給付にうつつを抜かしている場合ではなかろう。優先順位を考えよ、と言いたい。

つらつら考えうるに日本人は、自分が直接関わることにはキャアキャア騒ぐが、自分の財布に関わらないことには無頓着な民族といえる。大所高所からの発想がない。

しかし、まるで能無しではない証拠に1985年、自民党が「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」を議員立法(*)として提出した。しかし、当時の社会党と共産党が国民の権利を制限するとして反対し廃案となった。両党の低次元の杞憂が保守本流の正論を潰したのだ。よくあることで嘆かわしい。

(*) 議員立法とは、国民の代表である国会議員が、自らの政策を法律という形で実現する重要な手段である。これに対し内閣立法は、内閣が法律案を作成し、国会に提出するもの。内閣立法は、政府の政策を反映したものが中心となる。

議員立法を成立させるためには、衆議院では20人以上、参議院では10人以上の国会議員の賛成が必要。ただし、予算を伴う法律案の場合は、衆議院で50人以上、参議院で20人以上の賛成が必要になる。

立法方法はともかく、現状、日本には、スパイ行為を直接取り締まる法律は存在しない。「スパイ天国」といわれても仕方がない。世界中にその無知と愚かさを晒け出している。

4. 17人も中国に拘束さるもスパイ交換できず

スパイ取り締まりの法律や国家組織がある国同士では、「スパイ交換」という方法がある。

各国で拘束された外国のスパイや政治犯を、外交交渉を通じて相互に解放する取り決めで、冷戦時代には米ソ間で頻繁に行なわれ、現在も米中、米ロ、欧露間で続いている。

日本には正式なスパイ罪やスパイ法がないため、外国のスパイ行為が刑事事件として立件されること自体が稀。従って、他国に拘束された日本人との「交換のカード」となる外国人スパイは日本にほぼ存在しない。

中国政府は2014年の「反スパイ法」成立後、少なくとも17人の日本人をスパイ行為の疑いで拘束した、としている。 拘束された17人のうち、10人が一審で実刑判決を受けたとされ、そのうち5人が不当にも拘束・服役中である。うち1人は2023年に12年の懲役刑が上訴棄却・確定している。

しかし、日本にスパイ関連の法律や諜報機関がないために、中国人のスパイを拘束できず、したがって「スパイ交換」もできない。

5. スパイ防止法制定の動き

自民党「治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会」の高市早苗会長(前経済安全保障担当相)らは2025年5月27日、石破茂首相と面会し、スパイ防止法制定の検討を求める提言書を提出した【写真】。重要情報保護のため「諸外国と同水準」とするよう求めた。首相は「しっかり勉強していく」と応じた。

今度も廃案になるようなことがないよう期待したい。

anti-spy law takaichi

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