1. 近隣住民の「それまでの」平穏環境維持が基本
1-1. インバウンド客の周辺への配慮意識、日本人に遠く及ばず
2026年8月のデータでは、中国からの訪日客の急減などを背景に、インバウンド(訪日外国人)数の一部減少や伸び悩みが起きている。
しかし、それ以外の国・地域からのインバウンド数は増加傾向にある。
こうした事情から民泊事業を展開しようとする投資家が増えている。民泊事業は古民家の活用、空き家・部屋の活用など良い面もあるが、民泊利用者の民度が日本人にははるかに及ばないことから、以下のような問題が噴出して大きな社会問題となっている。
1-2. 民泊展開の問題点
1位:騒音・パーティー問題
深夜の宴会、大音量の音楽、庭やテラスでの話し声などにより、近隣住民の生活環境が脅かされるトラブル。これが最も多い。
2位:ルール違反のゴミ出し
分別がされていない、指定日以外に出される、共用部に放置されるといったごみ問題が挙げられる。
3位:敷地への侵入・マナー違反
宿泊者が間違えて近隣の家に入りかけたり、インターホンを鳴らしたり、共用部の使い方が悪かったりする問題だ。
1-3. 民泊問題の根本原因
基本的には、「観光客を増やす」という国全体の政策と、「民泊住宅の近隣に住んでいる住民の生活環境を守る」という地域住民の利益が必ずしも一致しなかったことが問題だ。
民泊に関わる具体的な問題は、ひとえに宿泊者の民度の低さによる。因みに民度とは、特定の地域や集団に属する人々の、平均的な知的水準や生活・文化の程度、およびマナーやルールの遵守度を指す。
私はここで、「インバウンドは民度が低い」というレッテル貼りをしようとしているのではない。金と銅が明らかに違うように、日本人とインバウンドの違いを認識せよということだ。
これは今まで長年にわたって、ガイジン・ビジネスに関わってきた中で実感として認識している。
したがって、民泊住宅に注意事項を張り出したところで、彼らにはそれを遵守しようとする気持ちが基本的に希薄だ。日本人なら、例えば中高生の悪ガキ•グループの誰かが、電車の中などで悪ふざけで大声を立てたりすれば、仲間の誰かがこれを注意する。そういう「自浄作用」があるが、彼らには、そんなことには知恵が回らない。
また、世界一般的には、
「郷に入っては郷に従え」(Do as the Romans do in Rome)
という諺もあるが、インバウンドでこんなことを教養として供えている人は少ない。
彼らは、自主的な規則遵守が不得手な人たちなのだ。
It’s none of your business. (私の勝手でしょ!)
とすぐに言う。私は何回か言われた。
2. 民泊問題の基本的対処法
インバウンドには規則遵守精神が極めて希薄なので、民泊施設に所有者なり使用者なりの日本人を常駐させ、違法行為をその都度注意するしかない。「教育」なんて1~2泊のインバウンドには有効ではない。
また、違反行為をした場合には罰金を支払わせることなどを、事前に取り決めておくことだ。
民泊ルールの基本は、
1)周辺住民に迷惑を掛けないこと。
2)周辺住民のそれまでの平穏環境を保証すること。
ーーである。
日本で合法的に民泊を運営する場合、根拠となる関連法は、
1)「住宅宿泊事業法(民泊新法)」
2)「旅館業法」および
3)「国家戦略特区法」
ーーの3種類に分かれる。
民泊事業展開希望者は、このうちどの法律をベースに民泊展開するかによって、営業できる日数や手続きの難易度、求められる設備基準が大きく異なってくる。
これらの法律すべてが、管理人常駐を規定しているわけではない。今後新たな法律が制定されようと、「管理人常駐」型の民泊しか許可すべきではなかろう。
2-1. 民泊投資の前提
民泊をやってみようかな、という投資家は、現在賃貸マンション、空き家・空き部屋、それに古民家などを所有していることが多い。
これら所有不動産を民泊へ転換することにより、より多くの収益を狙う。それになんら口をはさむつもりはないが、周辺住民への迷惑を発生させないために、管理人を常駐させる人件費を惜しんではなるまい。それが日本人の「民度」というものだ。
また、日本人以外がマンションのオーナーの場合、現在在住の住民を追放し、利益率の良い民泊経営を開始した事例もいくつか出ている。
そしてインバウンドが騒音、ゴミ問題で地域に迷惑を振り撒いている。
これらは民泊オーナーもインバウンドも民度が低い典型例だ。
外国人が民泊オーナーになることも規制する必要がある。
民泊はそもそも、増えるインバウンドにたいして宿泊施設が不足するのを補充するために考案されたものだ。しかし、そうしてインバウンドへの便宜を図っても、民泊近隣の住民が迷惑を被るなら、本末転倒ではないか。
そんなにまでしてインバウンドと民泊経営者を利することはない。
宿が足りなければ、訪日希望外国人は順番を待つのが妥当である。
民度の低いインバウンドを受け入れることで、日本の観光資源(*)や街の清潔さを崩してはならない。
(*) 観光資源とは、自然・歴史・文化・食・人々の暮らしなどのうち、「観光客を引きつけるもの」と言える。
(註) 本稿でいう「インバウンド」は主に東南アジアからの観光客をいう。


