Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #8

Masaato Blog 文学部8
文学系

 このブログでは私のfacebookの記事の中から、文学を中心とした記事を特集しています。これまでに『味覚極楽』『源氏物語』『万葉集』『人知れず微笑まん』『ガンを叩き出した男 末期ガンからの生還』『伊豆の踊り子』『いよよ華やぐ』『カサブランカ』『ティファニーで朝食を』『枕草子』『千と千尋の神隠し』『曽我物語』などを取り上げています。

◆これまでに以下の7本の記事が公開されてます。
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #1
『味覚極楽』『源氏物語』『万葉集』『人知れず微笑まん』
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #2
『ガンを叩き出した男 末期ガンからの生還』『伊豆の踊り子』『早春賦』『春の海』
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #3
『経盛集』『不死鳥』(巨大絵画)『伊豆の踊り子』『夜明け前』
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #4
『シベリア抑留』『蝉丸』『映画・ひまわり』『源氏物語・空蝉』
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #5
『カサブランカ』『ティファニーで朝食を』『枕草子』『あの扉・・・』
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #6
『論語』『千と千尋の神隠し』『曽我物語』『英文日本昔話』
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #7
『いよよ華やぐ』『PRは恋ごころ』『日本人を狂わせた洗脳工作』

◆好評人気読み物『NEWPORT通信』ぜひお読みください。

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1『艶やかな群像』電子出版、Amazon.com から11冊目

子育ても一段落し、それでは「自分にご褒美」とばかりに旅行、食事、スポーツに勤(いそ)しむママたち。しかし、もはやパパとの仲良しも間遠になり、枯れ木のような自分がいる。
離婚して子育てをしてきた女性や独身女性もそうかもしれない。
人には生きていく上での食欲、性欲、そして睡眠欲の三大欲望があり、これが満たされて本当の幸せがある。
本書では、更年期を過ぎた既婚者、離婚者、それに独身者といった女性が中高年になってもなおかつ艶やかに元気、溌溂に生活しているさまを描いている。
Amazon.com から700円で発売中。作者名・水流(つる)慎太郎は私のペンネーム。

Amazon.com から発売中の電子書籍

●『添乗員はつらいよ』(*)
●『広報PR 生き残る経営戦略の要諦』
●『和食への誘い』
●『上野精養軒物語』
●『レマン湖永久に』(*)
●『ジャカランダ慕情』
◆『春な忘れそ』
◆『カリフォルニアの風』
◆『艶やかな群像』
◇『Invitation to the WASHOKU』
◇『The Best 20 of Japanese Dishes』
(*)は紙本でも発売中。
筆者名  ●印 新津正人 ◆印 水流慎太郎 ◇印 Masato Niitsu (2022年2月26日記)

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2「知の巨人」石原慎太郎氏逝く

石原氏は、もともと文学者だが行動力ある稀有の政治家として、また思想家・評論家として、私は、その著作や媒体を通しての彼の言動に深く共鳴してきた。これだけ広範な知識を持ち、深く正当に思考し、人目を忖度せずに実践していく昭和の、というか日本の「知の巨人」は他に思い浮かばない。

そういうこともあってか、彼には夢の中で3回会っている。2回は「忘れてはならじ」と記録をとってあるが、1回はどうしても思い出せないでいる。現実的には、東京・新宿の住友三角ビルのエレベーターの中で二人きりになったことがある。厳密には警護官がいたので3人であるが。

私は文学好きではないが、それでも書棚を見ると彼の著作が何冊もある。最新のは、といっても2015年出版の『フォアビート・ノスタルジー』【写真】だ。腰巻の表4側には「通夜に集まったのは昔の仲間たち。ある者は未来を、ある者は生命を賭ける。封印を解かれた愛のために・・・・。艶やかなエロス、男同士の黙契。石原文学の到達点」とある。

1)『陰茎を外から障子に突き立てた』

彼は小説ではエロっぽい場面を平気でさらっと書く。同書でもシニアの濡れ場が出て来る。『太陽の季節』が芥川賞をとった時は、私はまだ11歳であった。高校生になってからその作品の、
「彼は勃起した陰茎を外から障子に突き立てた」
の件(くだり)が仲間内で騒然たる話題になった。障子がある家に住む悪仲間の一人は、それを試行してみたが「障子紙って意外と硬くてさぁ」との「報告」であった。

2)西部邁の『自裁死』

2018年には、自分の死という尊厳な瞬間を、自分は何もできなくて医師や看護師のされるままにされて死ぬより、自分で自分の死を司る『自裁死』を選んだ保守本流の思想家・西部邁(にしべすすむ)が逝った。
お二方とも私らより一世代前の方となるが、私ら世代にはこうしたお二方を後継するような逸材がいないのは、残念、と言うより日本の大きな損失である。(2022年2月2日記)

3 劣化する日本の礼節

この写真を見てどう思いますか?
これはTVのBS朝日で放映している『百年名家』の最近の一コマで、登場する役者が僧に由緒ある茶室へ招かれたときの場面です。

私ら「昭和の青年」から見ると「ええっ」と思います。二人の役者は、和式の作法を心得ていないからです。茶道を嗜む人もそう思うでしょう。コートを着たまま招待された家に入るのは日本ではもっての他です。ましてや茶室においてをや、です。

1)日本には日本の作法

最近ではTVドラマでも、一般家庭を訪問し部屋へ入った役者がコートを着たままというのはしばしば見かけます。例えば『相棒』の杉下右京は、一般家庭や会社を訪問した時、絶対にコートを脱ぎません。彼は英国仕込みのマナーを心得ているという設定ですが、日本では日本の作法に則って欲しいものです。

和式作法では、冬場の企業訪問にせよ家庭訪問にせよ、訪問先の玄関のドアを開ける前にコートやマフラー、手袋などをとるのが普通です。お暇(いとま)するときにも、玄関を出てから着用するのが作法です。寒いですから、送り出す方が、室内で着用して外に出るようにご案内するのが、これも作法であり訪問客への好意です。

現役のころ、クライアント(広告主)を冬に訪問するとき、必ずコートを脱いでから建物の中へ入りました。出るときにも、外に出てからコートを着ました。
どうしてそんな非合理的なことをするかについては、紙幅の都合でここでは書きません。

2)『味噌も糞も一緒』の合理主義

最近では鼻先の知恵の回る平成世代の人が、そんな作法は止めましょう、欧米ではそんなことはしていません、などと安易な合理主義をのたまわっています。こういう考え方を「味噌も糞も一緒」といいます。

世界に類のない、他民族から影響を受けてこなかった日本独自の作法は、このように物事を知らない人たち(とくにマスコミ関係者)によって劣化されていく傾向にあるのは残念です。
『百年名家』や『相棒』の高学歴者の番組制作者たちも、そういう心得がなかったに違いありません。(2022年1月18日記)

4 消え去った日本人の我慢と美徳

「何を言うのか爺さん、今頃」
と言われるのを百も承知で、敢えて言っておきたい。
私らが子どものころは、「我慢せよ」「他人に迷惑をかけるな」というのが当たり前の価値観であった。そうした公徳心で日本社会が構築されていた。それが日本人の美徳であった。仕事の多くの時間を外国人と過ごしてきて、とくにそう思う。

1)You can do it, but you should not.

例えばクルマを運転する。交差点に差し掛かり、当方青(緑)信号で直進しようとする。すると先方から来たクルマが急に右折する。当方は急ブレーキをかけ、先方車の右折を優先する。これこそ、私が言うところの You can do it, but you should not.なのだ。
曲がれるけれど、相手に迷惑をかけているのだ。歩いても同じことがある。順調に直進している当方の前を、急に横切る者がいる。それはできるよ。ぶつからないよ。でも、私は急に立ち止まらなければならない。これを迷惑行為というのだが、最近ではそういう概念は通用しないらしい。

何事においても自己中心が幅を利かせ、法に抵触してさえいなければ何でもOKという風潮だ。「衣食足りて礼節を知る」の逆ですな。

コロナ禍においても、規制が緩和されればドッと居酒屋へなだれ込む。マスク飲食、人数制限、時間制限などを守れば、それでいいのか。我慢して外飲みを控え、感染者数など関連数値が低くなる社会にしたい、などとは思わない。自分さえ知人と一杯飲めればそれでいいのかよ。

ほかにも似たような現象は多々ある。明治のころに来日した何人かの外国人が、日本人の美徳について書き残してくれている(イザベラ・バード『日本奥地紀行』他)。この先、そうした日本人の美徳は復活するのであろうか。嫌な渡世になったもんだ。
【写真】イザベラ・バードが同書を書いた頃の日光街道の典型的な茶店。(2021年12月18日記)

2)読者の反応

安尾 浩さん
学校で教育勅語を教えないから、今のような自己中が蔓延る社会になったのだと思います。
新津Masatoの返信
安尾 浩 様 私は手元に「教育勅語」【写真】をもっています。いま、読み直してみました。

 

 

5 Pearl Harvor=真珠「湾」の誤訳 知らなかったのは私だけ?

本日12月8日は何の日か?
「昭和の青年」は皆、この日を知っている。
日本時間1941(昭和16)年12月8日未明、大東亜戦争(第二次世界大戦)において日本海軍が、アメリカ・ハワイ・オアフ島真珠湾にあったアメリカ海軍の太平洋艦隊と基地に対して奇襲攻撃を行った日だ。
今ここでこの奇襲攻撃の評価をするわけではない。

新聞を読んでいるとパール・ハーバー=真珠湾と頻りに出て来る。私も物心ついたころからそう刷り込まれてきた。しかし、よく考えると、考えなくても、ハーバー(harvor)って「湾」ではなくて「港」じゃねぇ?「湾」はbayじゃねぇの?

大変なことに気が付いた気になったが、Pearl Harvor = 真珠「港」なんていうことはみんな知っていて、Pearl Harvor = 真珠「湾」 と使っているのであろうか?
いずれにしても私には新しい発見だった。ちょっとネット検索してみると、開戦初日の新聞に、「白亜館は日本軍が真珠湾に対し攻撃を開始したと発表」と書いたときに、翻訳者が harvor(港) を「湾」と「誤訳」したのが始まりのようで、その後「真珠湾」がひとり歩きをして今日に至っている、というのが事実らしい。白亜館はホワイトハウスである。

それにしても、あまりにも初歩的な誤訳ではないか。このままストンと腑に落ちない私はさらに検索を続けた。すると「大阪大学学術情報庫」(Osaka University Knowledge Archive)というデータベースに行きついた。一般に公開されている。
ここで田野村忠温とい方が「真珠湾の日中名称小史 The History of Names for Pearl Harbor in Japanese and Chinese」という論文を2018年に発表している。
失礼ながらこの論文を斜め読みしたところによると、Pearl Harvor を真珠湾と誤訳しかねない歴史的な背景が多方面から考察されている。
でもPearl Harvor は地図でも確認したが、どう見たって地形的に「湾」ではなくて「港」(軍港)ですな。(2021年12月8日記)

6「あなたの優しさが怖かった」48年目の真相

過日、喜多条忠という作曲家が旅立った。「昭和の青年」世代なら誰でも口ずさんだ南こうせつ作曲、南こうせつとかぐや姫が歌った名曲「神田川」の作詞者である。
彼にまつわる記事が新聞やウェブに出ていて、当時を思い出しながらフムフムと読んでいたら、私は48年間も歌詞を間違って理解していたことがわかった。

参考までにその歌詞を見ると、
♪貴方はもう忘れたかしら 赤い手ぬぐい マフラーにして
二人で行った 横丁の風呂屋 一緒に出ようねって言ったのに
いつも私が待たされた
♪洗い髪が芯まで冷えて 小さな石鹸 カタカタ鳴った
貴方は私のからだを抱いて 冷たいねって言ったのよ
若かったあの頃何も恐くなかった ただ貴方のやさしさが 恐かった

私はすでに、怒涛のような学生運動から離れて雑誌の記者をしていたころだ。
上村一夫の漫画「同棲時代」と合わせて、まさに甘酸っぱい青春時代の感傷的な歌詞である。

1)「あなたの優しさ」あなたは女性!

この歌詞の末尾に「ただ貴方のやさしさが 恐かった」とある。当然これは同棲していた女性が男性に対して抱いていた心情だと、誰でも思うでしょう。

ところが、そうではなかったのだ。男は学生運動のデモ規制などで機動隊にボコボコにされて帰ってくる。すると彼女がタマネギを刻んでカレーなどを作っている。
すると男は、デモに参加なんかしないで、毎日料理を作ってくれる彼女といて、教員免許でも取って平凡な生活を送る方がいいのではないか。そういうたやすい方向へ流れることを、当時左翼学生は「日和(ひよ)る」といって共闘仲間からは「自己批判」させられた。そういう自分になりそうな、「彼女の」優しさが、男が怖かった、と言っているのだ。

2)「芯まで冷えた髪」は男性の髪

「洗い髪が芯まで冷えて」という部分も、通常、先に銭湯から出た女の子のことだと思う。しかし喜多条忠氏の対談を読むと、これは当時流行っていた長髪の男子が長風呂の女の子を待っている状況だというのだ。

私はこんなことが無いように同棲していた女性と銭湯へ行ったときには、洗い場からでかい声で「お~いでるぞぅ」と叫んだ。彼女は恥ずかしそうな声で返事をする。外へ出てから、「恥ずかしいからあんなこと言わなくてもいい」と叱られた。

話を元へ。ではこの歌詞の主人公は男なのか女なのか。喜多条氏の対談では、「いや、女性も男性も一緒になっているんですよ。書いた本人もよくわかりません(笑)」と言っている。
なぁんだ、そうだったんだ。48年も誤解していた。昨今、こうしたしっとりした歌が少ないと思うのは「昭和の青年」のノスタルジーに過ぎないのか。(2021年12月2日記)

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