Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #9

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文学系

 このブログでは私のfacebookの記事の中から、文学を中心とした記事を特集しています。これまでに『味覚極楽』『源氏物語』『万葉集』『人知れず微笑まん』『ガンを叩き出した男 末期ガンからの生還』『伊豆の踊り子』『いよよ華やぐ』『カサブランカ』『艶やかな群像』『ティファニーで朝食を』『枕草子』『千と千尋の神隠し』『曽我物語』などを取り上げています。

◆これまでに以下の8本の記事が公開されてます。
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #1
『味覚極楽』『源氏物語』『万葉集』『人知れず微笑まん』
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #2
『ガンを叩き出した男 末期ガンからの生還』『伊豆の踊り子』『早春賦』『春の海』
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #3
『経盛集』『不死鳥』(巨大絵画)『伊豆の踊り子』『夜明け前』
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #4
『シベリア抑留』『蝉丸』『映画・ひまわり』『源氏物語・空蝉』
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #5
『カサブランカ』『ティファニーで朝食を』『枕草子』『あの扉・・・』
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #6
『論語』『千と千尋の神隠し』『曽我物語』『英文日本昔話』
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #7
『いよよ華やぐ』『PRは恋ごころ』『日本人を狂わせた洗脳工作』
Masaato blog文学部、facebookに登場した名著 #8
『艶やかな群像』『フォービート・ノスタルジー』『教育勅語』

◆好評人気読み物『NEWPORT通信』ぜひお読みください。

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1 瀬戸内寂聴さん、ありがとう。

私のとっての彼女は、恋にひたむき、話し好き、そして好色ということを真面目に経験してきたおばちゃん、という印象がある。過日旅立った。やや淋しい。
恋多き彼女ではあったが、そういう経験が源氏物語の現代語訳にも表れていて他の与謝野源氏や谷崎源氏などの比べても肯首できる場面が多い。
といっても私は熱心な源氏読者ではなく、好みの場面を、谷崎や与謝野、円地や田辺がどのように現代語訳しているのを比較するのが好きなのだ。本は持っているが、全巻を通して読んだことはない。高校生のころ『チャタレー夫人の恋人』の裁判沙汰になった、和訳されていない性描写の部分の英文を辞書と首っ引きで悪友と和訳したのに似ている。
これから彼女の著作を読んでみたい方には、『いよよ華やぐ(上)(下)』と『わたしの源氏物語』をお勧めする。

1)命がけの愛、迫力ありすぎ『いよよ華やぐ』

『いよよ華やぐ』の腰巻には次の紹介文がある。
俳人にして小料理屋の女将、藤木阿紗女91歳。きもの研究家・浅井ゆき84歳。スナックのママ・杉本珠子72歳。人生の激しい軌跡を刻み、齢を重ねた今だからこそ、見えてくるものがある。一途な恋、激しい愛、生そして死……。年々にわが悲しみは深くして いよよ華やぐ命なりけり──岡本かの子の歌そのままに、命がけの愛をつらぬき、齢を重ねて華やぐ女たちの人間模様を描く長編小説。
これは恋愛ものとしては迫力がありすぎたが夢中になれる。
標題のもとになった岡本かの子歌は、次の通り。
年々にわが悲しみは深くしていよよ華やぐ命なりけり

2)表現が現代的でカジュアル『わたしの源氏物語』

もう一冊の『わたしの源氏物語』は源氏物語をまだ読んだことがない人でも大いに楽しめる一冊だ。表現が現代的でカジュアルなのだ。例えば光源氏が好きになった空蝉(うつせみ)の事を「今風にいえば不良青年にレイプされた人妻」などと軽く説明している。
同書の個人的に興味のある見出しは以下のようになる。
不良少年の自信、女はやはらかきがよし、聡明な女の心の鬼、女君さらに起きたまはぬ朝、新枕の陶酔、性ぬきの夫婦愛、色事師の色の戒め、夜離れ(*)の古女房、父親の好色を反面教師として、など。(*)「夜離れ」を「よばなれ」と読んじゃう人はまだまだ修行が足りませぬ。
Amazon.com から11冊も電子書籍(内2冊は紙本も、また内2冊は英文書)を販売しているので自称・売れない作家だけれど、意識がしっかりしているうちに、この『源氏物語』の、私が興味がある帖の新津流現代語訳を試みたいと思っている。(2021年11月12日記)

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2谷崎潤一郎『陰翳礼讃』日本の伝統美の本質は陰翳

私は蛍光灯などが目いっぱい輝いている部屋は好かない。夕暮れに夜の帳がだんだん降りて来るのを自宅の風呂に浸かりながら窓越しに眺めているのがいい。手元がわからないようになったら、蛍光灯に変えて自分で作った照明を灯す。
夕方のスポーツ散歩では、各家庭の門灯を鑑賞しながら歩く。照度の高いものでは、帰宅しても心が休まるまいと思う。ほんのり灯る白熱球が一日の疲れを癒してくれる。
部屋にいてもアルミサッシがむき出しの戸は味気ないので、障子張りにしようと、材料は買ってあるが時間がない。
高級な感じを出すために、桐箱に入った酒がある。この箱の一面は取り除き障子紙を貼る。太陽光を利用した200円くらいの電灯を分解してこの箱に取り付ける。常夜灯として、夜中にトイレに行く時など誠に趣がある(写真)。
そんな折、何かの拍子に標記の本を見つけた。まだ読んでいなかった。日本の伝統美の本質は陰翳にあり、といっている。素晴らしい本だ。(2021年10月21日記)

3 『カリフォルニアの風』『春な忘れそ』Amazon.comから新発売!

9冊目の電子書籍・小説『カリフォルニアの風、埋火@桑港』490円、および10冊目の『春な忘れそ、真面目に生きて不倫』600円をAmazon.comから新発売しました。
Amazon.comn の「本」の検索欄に、今回からのペンネーム「水流慎太郎」を入力すると2冊がヒットします【写真】。
ぜひお買い求めください。お会いした時に代金はご返却いたします(笑)。
あなたのスマホへフリーのアプリをダウンロードすれば読めます。
ダウンロードの方法はこちらです。
『カリフォルニアの風』の説明はこちらです。
(2021年8月18日記)

4季語だけではない「半夏生」

在住している相模原市は「原」というだけあって、棒切れを振り回していた悪童のころは、住宅区域を抜けるとあとは畑と雑木林で「秘密基地」を造ったりするには絶好の環境であった。
今でもそのような場所があり、スポーツ散歩の途中には名も知れぬ草花が可憐に咲いている。
過日通りかかった道端には、写真のような不思議な植物が目についた。葉の一部が真っ白になっているのだ。さっそく「Google Lens」で撮影したら、その名前は「半夏生(ハンゲショウ)」と出ている。

1)「着物と俳句の会」

半夏生とは俳句の季語でもある。30年も昔「着物と俳句の会」なるものがあり、粋好みの銀座のママやゲイジュツ系のお姐さんもいるからと誘われて、作句に興じていたころがあった。
半夏生は、その時初めて覚えた季語だ。が、はて、それが植物の名前とは?
知識の迷路に入ってしまった私は、何回もキーボードを叩いて以下の真実?を見出した。

【真実らしい説1】

半夏生の半夏は、カラスビシャクという薬草のことで、根に当たる部分が健胃にいいという。この薬草が生える時期を半夏生と呼ぶようになった。

【真実らしい説2】

それとは別の植物にハンゲショウ、別名片白草=カタシロクサというドクダミ科の草がある。その草の葉がその名の通り半分白くなり、半化粧をしているように見える時期なので、この時期を半夏生という。私が撮影したのはこちらの植物であった。
詳しい説明によると、白くなるのは表?部分だけで下側は緑だという。あ、そう。確認して、写真、変更しました。

2)半夏生、知識の迷路散歩?もっともらしい説明

二十四節季というのをご存じかと思う。1年を半月ごとに区切って、その期間の特長を短い言葉で表現している。春分とか夏至とか秋分などという具合に。
この1節季をさらに3つに分け(5日間)、気象の動きや動植物の変化を知らせるのが七十二候(しちじゅうにこう)だ。二十四節気と同じく古代中国で作られた。二十四節気が古代のものがそのまま使われているのに対し、七十二候は何度も変更されてきた。
その七十二候のうちのひとつを半夏生という。夏至と小暑の間にあり、今の7月2日ごろにあたる。
知識の迷路散歩でした。(2021年6月30日記)

5 胸ときめいた「オー・モーレツ!」のパンチラ

作詞家の伊藤アキラ氏が旅立たれた(80歳)。
「この木なんの木」(日立CM)や「幸せの青い雲」(日本香堂CM)、それに「かもめが翔んだ日」(渡辺真知子歌)など多くの曲を作詞した。
しかし、私にとって印象深いのは1969年の丸善石油のTVCM「オー・モーレツ!」だ。曲よりも小川ローザ(モデル・歌手)起用のキー・ビジュアル【写真】が印象的であった。
当時はインターネットなどはなく、女子のスカートの中が見えるなんていうことは、私ら初心(ウブ)な独身男性には衝撃的なことであった。それ以前には、マリリン・モンローの似たような映像【写真】が雑誌などに掲載され、これも若年男性にとってはタダナラヌ出来事であったのだ。

レーサーの悲劇の恋人たち、小川ローザと小川知子

小川ローザはそのころレーシング・ドラーバーの川合稔と知り合って、「スピード結婚」するが、川合はトヨタ7(セブン)というレーシングカーのテスト走行中の1970年8月、鈴鹿サーキットで敢え無く事故死してしまった。
「トヨタ7」と「小川」繋がりでは、もう一つの悲劇があった。川合稔事故死の前年1969年、同じくトヨタ7の走行テストを袋井市のヤマハテストコースで行っていた福沢幸雄は、川合同様、事故死している。
福沢幸雄は、福沢諭吉の曽孫であることも話題であったが、恋人が当時の人気アイドル歌手・小川知子であったことも話題をさらに高めた。
当時の私はまだ、ツーリングカー(普通のクルマ)やプロトタイプカー(トヨタ7のような試作車)、それにF-1などのレースには関わってはいなかったが、興味があったのでいろいろと記憶がよみがえる。(2021年5月23日記)

6 AF(人工親友)ってご存じ?『クララとお日さま』カズオ・イシグロ著

不勉強でカズオ・イシグロの著作は1冊も読んでいませんでした。『クララとお日さま』というほのぼのと感じられた書名と書評に惹かれて買いました。2017年ノーベル賞受賞後の初作品です。
人工頭脳B2型を搭載したAF(人工親友)クララが、病弱な一人娘ジョジーとその家族、ジョジーのボーイフレンド、近隣家族などなどを巻き込んだ、ジョジー13歳から大学生になるまでの出来事を語ります。
B3型のAFだと、放り投げられても足で着地できるし、嗅覚もあるそうです。
それはともかく、私も人の親として、娘がいたなら、こんなに優しく知的で、気配りのできるように育って欲しいと願わずにはいられません。作者はとても素晴らしい娘を誕生させたと思います。
ネットで書評などをググってみると、世界の現行技術ではまだこれほどの完成度のAFはできないようで、それは2040年くらいだという記述がありました。
単行本で440頁(ツカ=厚さ30mm)の大作ですが、クララの情念的な部分や技術的な部分に惹かれて3日で読み切りました。
コロナ禍で在宅が多い折、強くお勧めしたい1冊です。

読者からの反応

Yuriko Suematsuさん:読みましたよ!(^.^)
新津Masato返信:遠く離れていても共感できるものがあるとうれ嬉しいね。
Yuriko Suematsuさん:AIクララの何とも慈愛に満ちた行動に心を動かされました。相手を思いやり助けたいと願う心を持ったロボット…美しいだけに、クララが廃材置き場で青空を見上げるラストが非常に切なく哀しい…😢(2021年4月19日記)

 

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