第10話 NHKの醜聞

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NHK「神話」が崩れつつある。かつては広告収入で成り立つ民放の報道は、広告主の圧力に弱く中立を欠く恐れがあるが、NHKは何者にも束縛されない公正中立な報道をしている、と信じられていた。

最近相次ぐNHKの金銭スキャンダル(醜聞)で、同局のイメージはガタ落ちで、とどまるところを知らない。しかし、その金銭スキャンダルの一部に、私も巻き込まれて体験していた。これはNHKのみならず日本の恥部であり後進性である。

【ウィキペディアから】
2004年、『NHK紅白歌合戦』の担当プロデューサーによる制作費の不正支出が、週刊文春の報道によって発覚したことがきっかけとなり、さまざまな問題や不祥事が明るみに出た。NHKは激しい批判にさらされ、NHK受信料の不払いが続発した。この時、職務が変わらないにもかかわらず、年功的に昇給する「わたり」や昇給短縮が給与慣行として行われてきた現状が指摘されている。

◆ 見事な散財振り、でもそれって視聴料でしょ

私もその恩恵に浴したのだから大きな声ではいえないが・・・。ある酒場でNHKのディレクターと知り合い、私もテレビ関係の仕事をしていたので番組作りで意気投合した。その彼から1週間とおかずに一献どうかとの声がかかった。

彼が選んだ、私では行けないような、チョット気の利いた和食酒場で一献傾け、2軒目へ行った。お互いに貸し借りがあるわけではないので「割り勘」を主張したが、2軒とも彼が支払った。かなりの額になっていた。帰りの車代も出していただいた。

私がそれまで抱いていたNHKのイメージは、壁のタイルが数枚落ちるように崩れて行った。タクシーを降りて私は自分に腹が立った。これって自分たちで払った視聴料ではないか。

いってみれば公金だ。彼がこの「経費」を局内でどのように処理するのか知らないが、NHKのほかのディレクターもこのような散財をしているのは、彼の所作から想像に難くなかった。

この度金銭スキャンダルで報じられたNHKの元ソウル支局長はソウルの高級クラブを気取って飲み歩き「漢南洞(ソウル歓楽街の名)の帝王」というニックネームが付けられていたともいう。

◆ よそでは使えないNHKのスタッフ

私が関与したある商品のキャンペーンでNHKが関与することになった。NHKだから例によって商品名はテレビ画面に出ないものの、画面を見ればそれが誰にもわかる商品という構成である。

しかし、芸能人絡みのこの企画の進行過程で、当方関係者のちょっとしたミスが出た。

私は外注先のその番組担当の芸能関係者とNHKにお詫びにおもむいた。礼を尽くして侘び、善後策を申し出たが、それはともかくという感じで、NHKのスタッフに嫌というほど嬲(なぶ)り回された。私がNHK様々と平身低頭しなかったのがいけない、というのが同行した芸能関係者のアドバイスであった。

NHKのスタッフはきっとスマートなジェントルマンであろうと予想していたが、こんな官僚的な人材では、民間企業ではとてもじゃないが使えない。NHKのスタッフのすべてがそうだとは思わない。しかし、組織のひとりの印象で、企業や団体のイメージが、相手方にいか様にも抱かれてしまうのだ。組織人としては自分たちひとりひとりがPR担当者だということを忘れてはいけない。

◆ NHKの無駄な撮影クルー配置

テレビの番組作りをしている企業に関与している頃の話。現在、民放では番組の制作費が大幅に削減されているので、番組に登場させる各企業からの制作協力費が大きな助けになっている。

そういう予算圧縮化の状況で、ある現場撮影では、民放では1カメラ・グループ(カメラマン、ディレクター、音響、技術など4、5人で1チーム)しか出せないのに、NHKは2グループも3グループも出てくる。

カメラが多い方が多角的なアングルで撮影できるし、番組に深みも出る。しかし、NHKは現場でカメラを何台も回す必要が無いときも、何台(何グループ)も出てくる。つまり、現場へ来て仕事がないグループもいるのだ。民放の社員が羨ましがっていた。

これらは、ほんの一例なのであろうが、NHKは体質的には一貫してドンブリ勘定に基づいているに違いない。このたびの、相次ぐ金銭スキャンダルも出るべくして出たものである。

◆ NHKの放漫経理に厳しい監査を

外国の企業は夏休みが長くていい、と人はいう。しかし、この長さには実はもうひとつの意味がある。夏休み中にその社員の不正をチェックすることだ。

本人が長期休暇中に1年分なり半年分の本人の業務、伝票などを徹底的にチェックする。個人的に伝票の不正操作はないか、外部の業者と癒着していないかなどがチェックされる。

また、外資系企業の日本法人では、本社からオーディット(会計監査)一行が来日する。数人で来て、会議室ひとつを占拠して、一定期間の経理伝票を1枚1枚チェックする。

経理担当の日本人は、神経がキリキリにすり減らされる。ほぼ1週間、徹底的なチェックを行う。もちろんオーディットは本社の社員であるが、期末には、外部の日本の監査がさらに入る。

NHKもこのような幾重にもわたる業務・経理チェックを何故しないのか。

外国人は全体的に、人より事実を重視する傾向がある。経理については、日本の中小企業のように00サンに任せてあるから大丈夫、とは思わない。外国にはいろいろな人種がいるので、それぞれの風俗習慣を乗り越えての共通価値は「事実」しかないのだ。

しかし日本人は、人を信用する傾向が強い。だから、長年経理を任せていた女性社員が巨額な詐欺を働いて、初めて驚く。よくある話だ。その間、まったくチェックをしていないからだろう。

NHKにしても、現在の経理状況を第3者が厳しくチェックし、「取材費」という隠れみのに隠れた公金乱用を厳重にチェックしていく必要がある。視聴料値上げなど、その後の話だ。集まった視聴料はとにかく「予算消化」しなくては、というような悪しき慣行は即刻止めるべきである。

◆ きょうのまとめ

1 NHKの金銭スキャンダルは、売上の苦労を知らない人たちの浪費常習化が原因といえる。大卒の新入社員(局員)には、全員、視聴料集金体験を1年間義務付けるべきだ。
新聞記者でも、入社早々から取材活動に出るわけではない。夜明け前に刷り上がった新聞を配送するトラックに同乗し、それを配達業者に下ろして回る業務に携わる。

2 NHKでは、第3者による経理の監査を厳重にすべきだ。

◆ 参考書

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