安達太良山、『マジソン郡の橋』他

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北アルプス穂高岳

事情が重なって毎週ビジネス・ゴルフという、嬉しくも大変な月であった。その後も、 何かがあって、最近はゴルフ漬けである。 とはいっても、スコアに飛躍的な向上がみられるわけではない。

これに加えて、山歩き。高校時代からだから、世間的には30年のベテランである(1992年当時)。 山岳作家・深田久弥の名著 『日本百名山』の内、登頂したのはまだ20座に満たない。好きな山には何回も行っているし、 百名山だけを目指してきたのではないので、百名山の数は伸びない。身体が丈夫な内に百とはいわないが、50位は 行きたいと思っている。

いまの会社(Goodyear Japan)にも山好きがいるが、いまでにみんな一緒に行ったことはなかった。ところがここへ来て

「一度みんなで行きましょうか」
「ああ、そうしましょう」

と、山屋さんの話は面倒くさくないから、お互いの予定の調整も円滑に進んで、7月の2日間、北アルプスへ行ってきた。穂高岳は、私にとっては10年ぶりくらいになろう。

最近、年配者が山へ入るようになった。時折、山への無知と自然への侮りが起因して、低山での年配者の遭難が後を絶たない。山登りは程度をわきまえれば、安価な健康法である。 都会から離れて、自然に抱かれ、 1~2日を過ごせる楽しみは、ゴルフの比ではない。

最近、学生時代の同期生で、 東京と横浜に住む仲間と飲み会をやったとき、彼ら男女各1名が私に彼らを山へ連れて行って欲しいという話が持ち上がった。

二人ともハイキングに毛が生 えたようなことをやており、その魅力に取りつかれていた。

私の山歩きは前述のように中学生のころからで、当然、高校時代、大学時代も山へ入っていた。しかし大学時代は、学園闘争の真っ最中で、休日にでも山歩きをしているなんていうことがバレると、
「軟弱者め」とか、
「総括しろ!」
とか言われかねない。そういう時代だった。

私は自分が山を歩いていることは、学友の誰にも話していなかった。
だから卒業後の飲み会で、私が山行愛好家であることを打ち明けると、皆、驚くのであった。

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箱根・明神が岳

さて、彼らを初めて案内したのは、箱根の明神が岳。 日帰りだが、登って降りたところが宮城野の温泉街だ。 1500円くらい出すと、露天風呂にて休憩もできる。 頂上では、キムチうどんを自炊した。寒くて風が強い日で、他の登山客は冷たいお結びだったので、寒気の中でうどんの鍋からもうもうと立ち上る湯気の中での、このうどんはうけた。

このメンバー3人の第2回山行は、彼らの要望をいれ、初心者向温泉付きコース。高村光太郎の『智恵子』でお馴染みの福島県の安達太良山にした。約1,700mだし、私ら上級登山者には上るには何となく物足りなく感じるので、今まで行く機会に恵まれなかった。

安達太良山「東京には空がない」

しかし、彼らとの縁で 「東京にはない空」を見に行くことになった。 日本百名山にも入っている。 二人の内の一人は中年とはいえ女性だから、寝るところとか、トイレとを気にしていたが、何とかして連れて行った。

昭和のその頃は、山小屋のトイレは当然のことながら水洗式であろうはずがなく、鼻がひん曲がりそうに臭い。寝る部屋も男女に関係なく雑魚寝だ。これは今も同じ。食事だって、小屋の用意する有料のものはレトルト食品とか、カレーとか、だいたいそんなもんだ。クルマが小屋まで行かないのだから、それは当然のことである。

だから若いうちは、肉でもビールでも何でも自分で担ぎ上げて自炊するのが最高の料理となる。こうした艱難辛苦があり、天候の急変もあり、雨にずぶ濡れになっても、また、行ってみようか、というのが山歩きの魅力である。

今回の安達太良山山行は、初日は晴れ、ルンルンの山歩きだった。山ユリやススキに赤とんぼが舞う高原のようなところを安達太良山を仰ぎながら、林道を小屋へと向かった。 午後1時半には「くろがね小屋」へ着いてしまった。

狭いけど源泉かけ流し風呂がある小屋なので、山歩き仲間の間ではつとに有名である。荷物をおいて 住復1時間のところにある八幡滝を見に行った。


安達太良山の八幡滝。

くろがね小屋の温泉は、湯ノ花いっぱいの白濁した硫黄系の温泉だがなかなかのものだった。 総欅造りで湯舟と洗い場で1坪ほどの広さだが、窓から見上げる尾根の雄大さや、自然の中の開放感が汗まみれの身体を癒してくれる。見知らぬ山屋さんと、各地の温泉情報や安達太良山の登山ルートの情報交換をする。

二日目は、起きたら霧、ときどき雨、アチャーの天気。 

5時半に朝食。 相棒の女性は、
「あたし、雨の中、行く気がしないから、来た道を降りる」
という。通常の一人で帰すなんていうことは、遭難防止の観点から絶対にしないが、来た道は一本の林道だし迷うことも遭難することもなさそうなので、 私のウールの上着や雨傘などを渡して分れた。下の登山口で会うことにした。

この判断は結果的に正解であった。 というのは、彼女と分かれて男二人での安達太良山への登りは、ガスと強い風で、女性にはちょっときついかもしれなかった。 視界はほぼ100m。稜線へ出ると風と霧はより激しくなり、 下手をすると強風でガレ場へ吹き落とされかねないほどの暴風雨。

暴風雨の中、雨風の圧力抵抗を弱めるように、身を屈めながら悪戦苦闘の歩行を20分。岩場で風を避けられそうだったので、一時的な休憩をとった。霧がやや薄くなったら、何と近くに山頂の標識が立っていた。安達太良山の頂上だったのだ。

同行の男の相棒は、こんな天候はもちろん初めての経験だろうが、山に取りつかれた彼は、 初回の箱根・明神が岳の山行いらい、登山用のこんろや食器、おまけにあのゴアテックスの雨具まで買いそろえていた。私もつい先日、長年使った雨具をゴアテックスに買い替えたばかりだった。これは威力を発揮した。

頂上からの約1時間半の下りで、ゴンドラの山頂駅に着く。途中、霧が晴れたりするのもだから、眼下の景色を見たくて、立ち止まって休憩などをしていたけれど下の山頂駅には9時半には着いてしまった。

小腹が減ったのでラーメンでも作るかと、ちょうど湯を沸かしているところに、先に麓まで下 山し、ゴンドラで登ってきた彼女が下車口から飛び出してきた。なんとタイミングの良いこと。この即席ラーメンは、彼女が用意して、分かれるときに私どもに持たせてくれた生ネギなども入れたので、飛び切り旨かった。

さて、ゴンドラで麓に降り立ったはいいが、次のバスまで2時間もある。しょうがないビールでも喰らって昼寝でもするか、それにしても2時間は長いな。 パスは、途中、岳温泉で乗り換えで、予定ではそこでまた温泉に浸かることになっている。

すぐ前には、スキーシーズンしか一杯にならないだろうと思われる富士急ホテル。 その前の植木ロータリーに小さな看板。 よく見れば1000円で温泉に入って休憩ができる、と書いてある。

 「おう。 いいじゃん。いいじゃん」

再び温泉浴と相成った。熱めの温泉がガンガンに湧き出ている風呂場は、 なんと終始一貫私と相棒 (男) だけ。 山の疲れを十分流すことができた。1回の山行で違った2ヵ所の温泉に入れたのは、今回が初めてである。

小説『マジソン郡の橋』

土日の休みにゴルフだ山だと外出が多かったので、あまり本も読めなかったが、今回、 なんといってもお勧めは『マジソン郡の橋』 河出書房新社寛刊、1,400円)。

アメリカの小説の翻訳で、全米でベストセラーだそうだ。日本でもいまや書店に平積みされている。

ある知人が、奥さんに勧められて読んで「いいです」というものだから、買ってみた。ひと晩で読了した。 評判なので読んだ人も当然いるでしょう。

 

簡単にいうと、アメリカの広いところにポツンと1軒ある農家。父親と子どもたちは、街へ出て数日帰らない。その間に道を尋ねてきた52歳のフリーカメラマン(映画ではクリント・イーストウッド)と7歳年下の農家の主婦との運命的な出合いと、激しくも悲しい大恋愛のストーリーである。

この手の作品は、私はわりと好きである。

小説『わたしの源氏物語』

2番目は、 またもや源氏で済みませんが、瀬戸内寂聴の『わたしの源氏物語』(集英社文庫, 680円)。 今年8月に発刊されたばかりだから、まだ読んだことがない名だなぁ、と読むにいたった。 

解説をしている林真理子によれば、

「・・・当然のことながらこれは源氏物語の解説書ではない」

これは源氏物語とは別の独立した読みのもとしても十分に楽しめる。 自分の不勉強さを棚に上げるわけではないが、 この本は源氏物語をほとんど知らない、学校の古典をかじった程度の知識の読者でも 一気に読める。 ほんとうに面白い」

とある。彼がいない君も、彼に不満な君も、また当然、光源氏ほどもてない君も、この本なら十分その気になれます。

映画『ハモン ハモン』

劇場でみたのは『ハモン ハモン』。 スペインの滑稽風、シリアス風、そして終わってから何となく、 想いだし笑いしたくなるようなラブ・ストーリー。 ま、お勧めです。

ビデオ『千利休』『利休』『天平の甍』

ビデオでは『千利休』(井上靖原作、熊井啓監督」『利休』(野上弥生子原作、勅使河原宏監 督)『天平の甍』 (井上靖原作、熊井啓監督)。 いずれも映画劇場で見損なったもの。 

テレビ『遠き落日』

テレビでは、最近の『遠き落日』。泣けたね。もし私に子どもがいなかったら、泣かされなかったと 思う。

まとめ

【編集後記 2021.06.09】
40代といえばだれでも猛烈に忙しく、仕事が楽しく、そしてまた、よく飲んだ時代だ。そんな嵐のような壮年期に寸暇を惜しんで山を歩き、読書した自分が懐かしい。

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